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エボナイト

2011/07/30 ,

友人の紹介で、日本でただ一つのエボナイトメーカーである日興エボナイトさんに行く。
南千住の駅を降り、ぶらぶら歩く。
小塚原回向院。ここには橋本佐内や吉田松陰の墓がある。昔の刑場跡だ。幕末動乱の中で刑場の露と消えた志士の墓に参る。吉展地蔵がある。
誘拐され、殺された吉展ちゃんの霊を祭ったもの。
遺体は、円通寺で発見されたが、回向院が遺族の檀家だったことから、ここに地蔵様が建立された。
しばらく行くと浄閑寺。ここは投げ込み寺として有名。
新吉原の遊女の遺体が、安政の大地震の際に投げ込まれたことから、この名がある。生きて苦界、死んで淨閑寺という句を刻んだ、新吉原総霊塔がある。約2万5千の遊女の遺体が眠っているといわれている。(写真左)
この寺の前の道が日本堤。今ではなんの風情もない道だが、往時は吉原へ行く遊び人でにぎわった堤だ。
みると、スカイツリーが見えた。(写真右)

日興エボナイトさんは、家族従業員さん9名の中小企業。しかし、日本でただ一つのエボナイトメーカーになってしまった。現社長のお爺さん(104歳で健在)が創業され、現在は3代目。
エボナイトは、天然ゴムで作られる絶縁素材でかつてはいろいろな分野に使用されたが、今はプラスチックなど化学素材に代替されてしまった。
日興エボナイトさんでは、このエボナイトの特性を生かして万年筆を作っている。素材メーカーとしての役割を果たしつつ、中小企業の生き残り策として消費者にエボナイトの良さを分かってもらう製品を作っているのだ。多様な色彩模様が浮かび上がった万年筆は漆を磨いたように美しい。軽く、しなやかで書き味もソフト。
中小企業の逞しさを感じる。