facebook twitter rss

新刊「慟哭の家」‏

2013/02/08 ,

51cil1GrULL._SL480_

2月15日にポプラ社から書き下ろしで「慟哭の家」が出る。
これは何年か前、ある新聞記事でダウン症の子どもとその母親を殺してしまった父親の事件を知った時、僕は、涙が流れて仕方がなかった。
父親は僕とほぼ同じ年だ。同じ時代を生きて来て、それも真面目に生きて来てなぜ彼は子どもと妻(母親)を殺さねばならなかったのか?
僕の回りにも障害児を育てている親が何人かいる。彼らの苦しみもその記事から感じたのだ。僕の幼い頃にも回りに障害児がいた。彼らの顔も浮かんできたのだ。
僕は、折に触れ、編集者とこの父親のことを小説にしたいと話した。
拘置所で本人にも会った。事件に関する資料も少しずつ集めた。
しかし僕のイメージに合わないのか、仕事としては進まなかった。
そんなときAさんという編集者が「やりましょう」と言って下さった。
それで2人で色々な人に会った。ダウン症の子どもを育てている
親、医者、NPOの人たちなど…。
質問は「なぜ彼は殺したのか?殺さねばならなかったのか?」だ。取材を進めて行くうちに今話題の出生前診断の問題や、いろいろな人たちの苦悩が自分の身に沁みて来た。
僕は、この小説を泣きながら書いた。
ようやく完成した。今までと全く違う分野なので読者の反響が怖いが、多くの人に読んでもらうと幸いだ。