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東京マラソン完走

ゼッケン引きかえ最終日、2月26日(土)まで沖縄那覇、宮古島、伊良部島、石垣島、西表島、波照間島と短時間に黒糖と泡盛の取材強行。いい天気で風もなく船が欠航しなかったことは幸運だった。向こうでは取材疲れで一切、走れず。
26日(土)ビックサイトにゼッケン引きかえ。ものすごい数の人。順番の列に並ぶと、これは半日仕事だなと走る前から疲れる気分。しかし、非常にスムーズに列は、進み、僕の番。係の人に、写真付きは、日テレの入館証しかないのでそれを示し、後は日本ペンクラブのカード。「あの、免許証とか保険証はありませんか?」「これペンネームなんで公的書類とは名前が違うのですが」「申し訳ありませんが、ヘルプデスクへ行ってください」係の人に云われてしまう。ここまで来て走れないのか!僕は、暗澹たる気持ちでヘルプデスクへ行くと、係の人が「大丈夫ですよ。ちゃんと受け付けています」と本人確認の判をペタン。やった!ゼッケンなどを受けとり、ブースを冷やかす。中は大変な盛り上がり。これだけでも気分がウキウキ。
27日(日)磯田さん宅に6時45分に集合。一緒に走る僕、トシヤさん、マドンナさん、佐々木さん、目黒さん。そして走らないが我らのリーダー磯田さんが先導して荻窪駅へ。
途中、アイちゃんと合流。アイちゃんは、帽子を忘れたと言って、家に引き返す。昨日から眠れないほど興奮しているらしい。アッチャンさん夫婦がハイタッチで見送り。否が応でも力がみなぎって来る。新宿西口で他のメンバーと合流。西堂さん、ユッキーナ、マッチャン、ユリさん、山川さん、マリコさん。後は、磯田さんの伊勢高校の後輩が二人来る予定だが、少し遅れている。磯田さんは、彼らを捜して、後から会場に行くことにする。
山川さん(東京マラソン5回目)という大ベテランの先導で全員出発。
ゼッケンのチェックを受け、会場へ。ちょうど女神の像の下に陣取る。男は、僕と山川さん、トシヤさん、そして伊勢高校の25歳の二人。
着替えや靴を履き変える。「あっ!」と突然の嬌声!何事かと思いきや、佐々木さんがランニングのウエアを忘れたと騒いでいる。可愛い、フリルのついた?スカートを買ったのに!
どうしよう、どうしようと焦っている。タイツはちゃんと履いているので、タイツで走ったら云われたら、「恥ずかしい」と女子高生並みの返事。前回は、薫子さんが同じように忘れてタイツで走ったとのこと。「佐々木さん、セクシーランだよ」と僕。しかし、佐々木さんは、いつでも冷静な判断を下すマドンナさんのアドバイスを受け、マドンナさんが履いてきた長いウインドベレーカーパンツ?を借りて走ることで決着。公式カメラマンが来て、
映像を撮りますということで全員笑顔で「IJCエイエイオー!」とカメラ目線で叫ぶ。この映像、どこで見ることが出来るのだろうか?女神像の前で記念撮影などをして、全員、トイレに。さすが山川さん、空いているトイレの位置までアドバイス。僕もトイレに。これで準備万端。荷物をトラックに預け、さあスタートラインへ。ここでも佐々木さんが15番のトラックを捜してうろうろ。大丈夫?初めてじゃないんだからね。僕たちはA1ブロック。ちょうど花吹雪の前。8時半までに並ばねばならない。スタートは9時10分。
まだ40分もある。少し寒い。DJが時間を潰してくれるが、緊張が増してくる。そのせいなのかまた尿意を催してきた。どうしようかと思ったが、もう時間がない。石原都知事が挨拶。なかなかフランクな挨拶で結構、結構。山川さんが「次はだれがあそこに立っているんでしょうか。今回は、いつもより挨拶が長いですね」と意味深なコメント。まだ4月の都知事選に出るか、出ないか、はっきりしていない石原都知事。挨拶が長いところで山川さんは、出馬しないと見たようだ。さてこれが当たるかどうか。単に気分がよくて挨拶が長かっただけなのか?5,4,3,2,1とカウントがコールされ、石原都知事がピストルでドン!その途端に左右から花吹雪が大空に舞った。一枚一枚桜の花びらにカットしてある。掴まえて持って帰りたいと思ったが、ひらひらひらひらで掴むことできず。石原都知事に一応礼儀なので手を振って、にこやかにスタート。スタート合図から30秒後にスタートラインを越えた。いよいよだ。ゼッケンA12356の僕が走りだす。スタートから沿道の声援がすごい。本当に一人一人がスターになった気分だ。
心に決めていたのは、三つ。キロ6分を守ること、応援隊のところは笑顔で通過すること、そして両手を上げて笑顔でゴールインすることだ。山川さんは、佐々木さん、西堂さん、アイちゃんのフォローに回ることになっている。コソ練の女王、目黒さんは、練習の成果を試すべく自立して走るつもりだ。西堂さん、アイちゃんはフルマラソンの経験が少ないので山川さん頼みということだ。佐々木さんは、とにかく楽しみたいとのこと。マリコさんは、トライアスロンの学生チャンピオンだったこともあるから、全く心配なし。Aブロック以外に行ったメンバーたちはそれぞれどんな気持ちだろうか。
スタートして間もなくの新宿大ガードの手前で「江上さん!」という声に振り向くとアベチエちゃんが、両手を前に突き出すようにして声援。どんな人ゴミの中でも自分を呼ぶ声はよく聞こえるものだ。「ありがとう!」と返す。しかし、まだ走り慣れていないのでハイタッチの余裕なし。靖国通りを走る。とにかくどこもかしこも声援がすごい。こんなに多くの応援の人たちの中で走るなんて信じられない。焦っているのかキロ表示が見えない。探しても見つからない。走っている人に「キロ表示はどこですか」「ちゃんとありますよ」キロ表示がなければ、スピードが調整できない。つくばマラソンの悪夢が蘇る。2キロの表示が見えた。11分43秒。キロ5分51,52秒で走ったことになる。まずまずだ。自衛隊が音楽を演奏してくれる。青梅マラソンの疲れもなく、走りは軽快だ。神楽坂のところで5キロ関門通過。28分08秒。ここから竹橋方面に向かう。10キロ近辺で応援隊がいる。そこまで頑張ろう。内堀通り。日比谷に入る。自分が勤務していた辺りを走っていると思うと感無量だ。応援隊が日比谷公園にいるはずだからと、左側を走る。ラップは5分26秒、5分26秒、5分34秒とちょっと早い。アッチャンさんと旦那さんがいた。「江上さん!」アッチャンサンの声。「ありがとう!」いつもの練習仲間からの声援が嬉しい。応援隊はどこか?と見ているとIJCのピンクのユニフォームが高く掲げられているのが見えた。あそこだ!近づいている。ちょっと恥ずかしいが、笑顔、笑顔。磯田さんが見えた。背が高いからやたらと目立つ。女房が、大きな口を開けて、パパ!と叫んでいる。みんなの顔が見える。帽子をとって挨拶。うれしいな。感激。「早いぞ!早いぞ!」磯田さんが大声で注意。もっとゆっくり走らねば後半にばててしまう。声援に押され、ついつい早くなってしまうのだ。10キロ関門28分57秒。
増上寺の前を通過。増上寺と東京タワーが並んで見える。いい景色だ。第一京浜、田町駅前に来る。ここは僕が大阪から転勤して来て初めて東京で働いた町だ。みずほの看板が見える。僕が働いていた場所は、今はりそな銀行だ。春日ビルという公団住宅の1階の店舗で下駄ばきビルと言われ、商業施設と住居が一体になった当時としては珍しいビルだった。
ここでの自分の青春がフラッシュバック。周りの景色は相当、変わっているが思い出は一杯残っている。隣に白雪姫の恰好で走っている女性がいる。7人の小人の人形をぶら下げている。結構、早い。「目立っていますね」「ありがとうございます」声をかける。これも楽しい。「江上さん!」と声が聞こえる。トシヤさんだ。軽快に笑顔で走っている。さすがに早い。好記録が期待できそうだ。太鼓やダンスの応援が沿道で繰り広げられている。楽しい。体がリズムを刻んでいる。
品川駅まで来る。15キロ関門29分34秒。この辺りまでは正確に5分55秒のペース。20キロになったら、ポーチに入れたゼリーを食べることを目標に走る。瀧さんのアドバイスだ。ゼリーを二つ持ち、20キロ、30キロで食べるんですよ。これが目標になりますからね。とにかく忠実に先輩のアドバイスは守ろう。品川で折り返し、田町あたりで山川さんに会う。「江上さん!」「山川さん!」と呼び合う。佐々木さんも西堂さんも元気だ。アイチャンや目黒さんはいない。当然、マリコさんもいない。先に行ってしまったのかな?
「江上さん!」とマドンナさんに会う。ウサギの耳としっぽが可愛い。笑顔の走りだ。かなり目立っている。
20キロ関門通過29分40秒。ちょっと落ちた。5分58秒、6分5秒などがあった。まあいい。このペースを崩さずに行こう。ゼリーを取り出して、飲む。力が注入された気がする。応援隊が見える。本当に磯田さんは目立つ。やはり僕らのシンボルだ。江上さんと言う声が気持ちいい。元気が出る。人間と云うものは、聞きたい声しか聞かないんだ。今度はハイタッチする余裕がある。
日比谷からいよいよ銀座四丁目だ。ものすごい人たちが応援してくれている。道に溢れんばかりだ。出版社の担当者が「江上さん!」と叫んでくれる。手を振る。こんな素晴らしい場所で走ることが出来るなんて夢のようだ。去年は銀行の問題など多くの辛いことがあった。赤坂先生を失い、つい先ごろは三原先生まで失った。僕は、ちゃんと走っていますよと天国の二人に話しかけた。
この交差点で佐々木さんがストレッチ体操をしたと磯田さんに聞いたことがあるが、恐ろしい根性の人だ。僕にはとてもそんな勇気はない。とにかく凄い声援だ。
日本橋に向う。アンパンマンの恰好で走っている人に会う。青梅マラソンで会った人だ。近づいて「青梅も走っておられましたね」「ええ、ありがとうございます」「がんばりましょう」沿道から、アンパンマン頑張れと声をかけられている。ひよこ、蟹、おにぎり、ビールいろいろな格好で走っている。彼ら、彼女らには沿道からの声援が多い。これが楽しみなのだろう。メイド姿の集団もいる。こっちはラップ通りに走っている。5分53秒から5分57秒あたりだ。どんどん抜かれるが気にしない。水天宮が見える。孫の悠人が生まれた祝いをした神社だ。25キロ関門通過29分2秒。順調に5分50秒台で走っている。ここから浅草に向う。雷門の大提灯が見えた。ブラスバンドが演奏したり、ゆるキャラも見える。門の前を曲がると、目の前にスカイツリーがぐっと迫った。すごい迫力。その横にアサヒビールの黄金のうんこ(失礼?)ビル。すごい迫力の景色だ。多くのランナーが写真を撮っている。携帯に向ってしゃべりながら実況中継している人もいる。いろいろな楽しみ方だ。浅草橋あたりで、だれかとすれ違わないかなと見ていると、山川さんが見えた。向こうも僕を発見したようで中間帯で会う。佐々木さん、西堂さんも一緒。山川さんが、カメラでパチリと撮ってくれる。佐々木さんも「江上剛、カッコイイよ」と写真を撮ってくれる。僕は山川さんのカメラを借りて、山川さん、佐々木さん、西堂さんの写真をパチリ。余裕だな。
30キロ関門通過29分27秒。この間のラップも5分50秒台。二個目のゼリーを食べる。30キロ通過した。ここからが本当のマラソンだ。気を引きしめる。少し足が痛い気もするが、つくばマラソンの時の苦しみに比べればなんでもない。再び銀座に戻り、声援の中を走る。本願寺前にも応援隊がいるはずだ。応援隊を捜しながら走っている。これが目標になっている。江上さん!と出版社の担当が声を上げてくれる。嬉しい。応援隊がいる。一番苦しいところなので応援が嬉しい。余裕の笑顔でハイタッチ。大瀧さんや那須さんやひとみちゃん、池辺さん、女房もいる。うれしい。「余裕だな」と磯田さんが言ってくれる。実は結構、足に来ている。しかし、ここで元気をもらって走る。コウキくんから飴玉を貰う。メロン味。力が入る。どんどん人を追い抜いて行く。こっちはラップを守っているが、速く走り過ぎた人が弱って来たのだ。ウサギとカメ?
田町や大手町、築地と自分が勤務してきた街を走って来たと思うと、なんだかジンと来て、涙が出そうになった。東京マラソンと云うのは、東京で過ごした青春を確認しながら走るマラソンなんだなと思った。この東京にはどこの街にも思い出がいっぱいだ。勤務はしていないが、銀座、日本橋、浅草など。親しんだ街ばかりだ。眼鏡を外して、涙を拭った。
35キロ関門通過29分12秒。このあたりは5分40秒から50秒台。このあたりからスパートしようかと思ったが、やはり足が重い。ここで頑張りすぎりるとダメになるかもしれないと心配になる。38キロあたりで坂が多くなると聞いていたが、目の前に佃大橋が見える。多くのランナーが坂を上って行く。青梅の坂はもっとすごかったと言い聞かせながら膝を上げ、走る。マリコさんの旦那さん、子どもたちがIJCのユニフォームで応援してくれる。旦那さんはサブ3らしい。最後のひと押しだ。
坂の途中でストレッチをしている人が多くなる。この辺りでもラップは5分58秒、5分56秒。なんとかなっている。後、5キロの表示。さあ、頑張るかと思ったら、また坂道。晴海橋。後3キロだ。頑張ろうと思ったが、ラップが6分10秒台に落ちた。東雲橋など小刻みに坂が続くのが辛い。40キロ通過は30分29秒だ。ここで頑張りたいと思って時計を見たが、3時間50分を超えていた。もう4時間は切れないことがわかって、ちょっと力が落ちた。最後の1キロ。すぐ傍を白雪姫さんが走りぬける。余裕で沿道の声援に応えている。この際、一緒にゴールインしちゃえと白雪姫さんを目標に走る。最後の1キロは5分49秒。コーナーを曲がるとフィニッシュのアーチが見えた。笑顔で両手を上げてゴールインすることを思い出す。白雪姫さんと同時にゴールに入る。両手を大きく広げた。立ち止り、コースに向って一礼した。
グロス4時間8分50秒。ネット4時間8分15秒。なんとも嬉しい。よくやったと言いたい。係の人から「おめでとうございます」と言われ、完走メダルをいただく。嬉しい。ずしりと重い。こんな立派なメダルを貰ったのは生まれてはじめてだ。誰彼となくありがとうと言う。一緒にいた外人に「ナイスラン!」と英語にならない英語で話しかけ、握手。
爽快、愉快、こんなに充実感があるとは、マラソンしてよかった。
みんなで表彰台裏に陣取って宴会。応援隊も加わってワイワイ。北海道から小説のフアンの徳光さんがジャガポックルを持って参加してくださった。ありがたい。ジャガポックルは子どもたちに大人気。女房達や薫子さんとマレちゃん。アイチャンの息子さん、娘さん、
マリコさん家族、石渡さん、アベチエさん、豊田さん、川澄さん、磯田さんの友達の女性、マドンナさんちの二人の息子さん、三好さんちの薫月君など一杯。
全員のタイムは、山川さん5時間38分、西堂さん5時間38分。山川さんは偉い。本気ならサブ3も目指せる人なのに、体調のことを考えフォローに入った。その結果西堂さんは見事なタイムで完走、。着替える気力もないのか、ランニングウエアのまま座り込んでいる。体が冷えなけれないいがと心配になる。ところで一緒に走っていた佐々木さんはどうなった?山川さんは佐々木さんを置き去りにしてきたとのこと。写真撮りまくりらしい。都知事選にでる和民の社長までゲットしたとのこと。置き去りにしちゃだめよとアベチエさんに叱られている。その反動か「西堂さんの根性は素晴らしい」と絶賛。アイチャンは5時間12分。恐ろしいのはトイレに5回も行ったという。それでこの時間なら、トイレに5分かかったとしてネットでは5時間を切っているに違いない。「目黒さんについて行きそうになる自分を抑えた」とのこと。今度はトイレの回数を抑えればもっといいタイムが出ること確実。その目黒さんは4時間29分の好タイム。トイレは一回だが、トイレに並んでいると、そこに磯田さんに似た人がやって来て、大きい方が漏れそうだと大騒ぎ。強引に目黒さんの前に割り込み、あろうことが人がまだ入っているトイレにドアを強引に開け、前の人が慌てて出ると、飛び込んで行ったという。その変な磯田さん似の人がいなければ4分10分台だろう。マリコさんはさすがにチャンピオンらしく4時間1分。でもこの1分が悔しそうだ。マチコちゃんは4時間52分、彼女の友達のユリさんは5時間48分。マドンナさんは4時間58分。ゆっくり走っていたように思ったのに5時間を切って来た。彼女の旦那さんのトシヤさんは、さすがにすごい。3時間28分の走りで、ベスト。自分では二軍のエースと謙遜しているが、一軍のエースだ。彼が初フルで5時間以上かかったとは信じられない。佐々木さんは5時間58分。長いパンツを履いていて暑かったらしいが、写真を撮りまくったと自慢、自慢。ユッキーナは5時間28秒。完走おめでとう。
伊勢高の二人は、4時間30分。
青梅マラソンを走って東京マラソンを走った先輩が薫子さん。たしか4時間を切ったと思っていたので「薫子さんには勝てないな」と言ったら「私よりいいタイムよ」と言われた。
初めて薫子さんに勝った!
全員完走おめでとう!
親しくしてもらっているマラソン解説者の増田明美さんから電話をもらった。「素晴らしいラップですよ。タイムも4時間8分。素質あります」と褒めすぎの内容。ありがとうございます。いつか増田さんの主宰するいすみマラソンを走りたい。マラソンを通じていろいろな人との出会いが広がるのは最高だ。
この後、5時過ぎに会場を出て、磯田さんらと新宿の居酒屋で再度宴会。さすがにちょっと胃がくたびれていた。でもこんなに気持ちのいい夜はない。来年も必ず走りたい。
東京マラソン、ありがとう!