横尾忠則さんのアトリエに訪問する。お土産はうさぎやのどら焼き。横尾さんはあんこが大好き。
今、描かれているY字路の絵を前にいろいろな話しをする。外には新緑が風に揺れている。
今回の絵には全く光がない。シリーズだが、どれも幽霊のようであり、生と死のはざまのような感じだ。
冷たいと言うより、そこに迷い込んでしまうような絵だ。「3.11以後ですね」と言うと「実は1月から描いている」とのこと。芸術家は未来を予言するというが、その通りだ。アトリエに宇野千代の夢千代日記を描いた湯村温泉の絵があった。それに原発のマークがカーテンの絵がらとして描かれている。ベックリンの死の島も描かれている。まさか、これも現代を予言したのですかと驚くと、5年前の作品で全国の温泉を描いた物だと言う。
これも予言だと思った。
静かに時間はすぎ、横尾さんも私もセルバンティスのドンキホーテの愛読者だと分かって非常に嬉しかった。